生殖補助医療に関する法案についての要望書
2014年(平成26年)4月11日
自民党政務調査会「生殖補助医療に関するプロジェクトチーム」座長:古川俊治様
およびこの法案の準備に携わるすべての議員の皆様
すまいる親の会(第三者の精子提供で親になる事を検討している、親になった人の自助グループ)有志
連絡先 〒283-0002 千葉県東金市求名一番地
城西国際大学内 すまいる親の会事務局 清水清美
電話 075-53-4703 メールkshimizu@jiu.ac.jp
「生殖補助医療に関する法案」についての要望書
「子どもの出自を知る権利」の保障なくして、生殖医療の拡大はあり得ません。生まれた子どもの出自を知る権利をふまえた、法の整備を希望します。
【要望の理由】
60年にわたりわが国で実施してきたAIDは、不妊夫婦や精子提供者のプライバシーを守ることが優先され、意図的ではないにしろ、生まれた人の「出自を知る権利」を軽視してきた経緯があります。本医療のおかげで親になることができた身ではありますが、一方で、生まれた人が「出自や遺伝情報がわからない苦しみ」「親への不信感」等で様々な困難を体験していることも知りました。
本会は、このような状況の中でも「より良い親子関係の構築」を目指して勉強会や情報交換を行ってきました。そして昨今では、せめて生まれた子どもとは正直な親子関係でありたいと、出生の事実を早期に伝えようと試み始めている親も出てきました。しかし、現行では出自をたどる道が閉ざされていることには変わりなく、「さらなる悩みを子どもに負わせてしまうのではないか?」という不安を感じる親も少なくありません。
「子どもの出自を知る権利の保障」は、親が正直に子どもに伝えることと出自を明らかにするための制度の2両輪があってはじめて成立します。生まれた人がそれを行使するか否かに関わらず、行使したいときに、行使できるように準備しておくことが、本医療を選択した親の役目であり、本医療を容認する国の役目だと思います。
ドナーの方の存在があってこそ親になれた感謝は計り知れません。本要望はドナーの方にさらなる負担をかける行為に受け取られるかもしれません。しかしながらドナーの方が本医療で不本意に搾取されることなく、その役割に関しても明文化される制度が準備できて初めて、ドナーの方の福祉と人権を守ることができると考えます。その上でドナーの方には、本要望をご理解戴いてドナーになって下さるよう、お願いできればと思います。
本案は、子どもを望む不妊の当事者や生殖医療を実施する医師を対象とした内容になっているように感じられ、とりわけそこで生まれてくる「子の福祉」という視点が欠けています。親とは一生子どもの幸せを願うものです。子どもの福祉が保障されない制度では、結局子どもを得る事が出来ても親は幸せにはなれないし、幸せな家族にはなれません。「子どもの出自を知る権利」の保障なくして、生殖医療の拡大はあり得ません。生まれた子どもの出自を知る権利をふまえた、法の整備を希望します。
以上